3Dスキャンによる検査とは?
接触式との違い・種類・導入メリットを徹底解説

3Dスキャンによる検査

3Dスキャンによる検査は、製品の形状や寸法を非接触で三次元データとして取得し、高精度な検査を行う手法です。

従来の接触式測定と比べ、複雑形状や大型ワークにも対応しやすく、検査精度の向上や作業負担の軽減を目的に、製造業や品質管理の現場で導入が進んでいます。

一方で、仕組みや測定できる項目、スキャナーの種類、導入方法が分かりにくいと感じる方も少なくありません。

本記事では、3Dスキャンによる検査の基本から仕組み、種類、導入メリット、選び方、導入前の確認ポイントまでを体系的に解説します。

3Dスキャンによる検査の基本と特徴

3Dスキャンによる検査は、対象物に触れることなく形状を読み取り、全体を三次元データとして確認できる検査方法です。

寸法や位置のズレを広範囲で把握でき、従来の方法では捉えにくかった差異も確認しやすい点が特徴です。

3Dスキャンによる検査で測定できる項目

 3Dスキャン検査では、長さや厚みなどの寸法測定に加え、製品全体の形状をまとめて把握できます。

取得した点群データを設計データと重ね合わせることで、ズレや誤差の発生箇所を視覚的に確認できます。目視では判断しにくい反りやわずかな歪みも、色分け表示によって把握しやすくなります。

特定の測定点のみを確認する方法とは異なり、表面全体を対象とするため、測定漏れや見逃しが起きにくい点も特徴です。検査結果はデータとして保存でき、過去の製品との比較や品質変化の把握にも活用されています。

接触式・光学式との違い

比較項目 3Dスキャン検査 接触式検査 光学式検査
測定方法・特性 非接触で形状全体を三次元データとして取得 測定器を接触させて一点ずつ測定 光を使って非接触で測定
検査できる範囲 形状全体を一度に確認できる 測定点ごとの局所的な確認 条件次第で広範囲を確認
検査効率 短時間で多点・広範囲を検査可能 測定点が多いほど時間がかかる 設定や環境によってばらつきが出る
適した用途 複雑形状・検査点数が多い製品の全体検査 高精度な一点測定 比較的単純な形状の検査

 

検査方法には、それぞれ適した領域があります。

3Dスキャン検査は、対象物全体を非接触で三次元データとして取得できるため、短時間で広範囲を確認しやすい方法です。複雑な形状や検査点数の多い製品においても、全体を効率よく把握でき、品質のばらつきを管理したい工程で活用されています。

接触式検査は、特定の測定点を高精度に確認できる方法ですが、検査点数が増えるにつれて作業負担が大きくなる傾向があります。

光学式検査は非接触で測定できる点が特長である一方、対象物の形状や周囲環境によっては、測定の安定性に差が生じる場合があります。

このような特性から、検査内容や目的に応じて、従来の接触式検査や光学式検査と組み合わせながら、3Dスキャン検査を導入するケースが増えています。

 

3Dスキャン検査の仕組み

3Dスキャン検査は、光を用いて対象物の形状を読み取り、その形をデータとして再現する検査方法です。データ取得から3Dモデル化までの流れを把握することで、検査結果の見方や活用方法を理解しやすくなります。

3Dスキャンによるデータ取得方法

3Dスキャン検査は、光の使い方が異なる複数の方式があり、検査対象や求める精度に応じて使い分けられています。

代表的な方式としては、レーザーを照射して形状を読み取る方式、パターン化した光を投影して形状を解析する方式、カメラ画像をもとに形状を再現する方式などがあります。

レーザー方式は、反射光を高い精度で捉えられるため、金属部品など精度が求められる検査に用いられることが多い方式です。

パターン投影方式は、広い範囲を一度に読み取れるため、比較的短時間で形状全体を確認したい場合に適しています。

いずれの方式も光を使って非接触で形状データを取得しますが、取得方法の違いによって検査精度や作業効率に差が生じます。検査対象のサイズや形状、必要とされる精度を踏まえて方式を選ぶことが、安定した検査につながります。

点群データ生成と3Dモデル化の流れ

スキャン後には、対象物の表面を表す多数の点からなる点群データが生成されます。この段階では、形状を点で表した状態であり、検査にそのまま使いやすいデータとは言えません。

点群データを整理し、不足している部分を補完することで、対象物の形状に近い3Dモデルへと変換します。作成した3Dモデルを用いることで、全体寸法の測定や設計データとの比較が可能になります。

数値情報に加えて、誤差の位置や大きさを視覚的に確認できるため、原因の把握や品質管理にも活用されています。また、データを保存しておくことで、過去の製品との比較にも利用できます。

検査用途で使われる3Dスキャナーの種類

3Dスキャン検査では、使用する機器の種類によって得意とする検査内容や運用方法が異なります。代表的な方式にはハンディ型、固定式、3Dカメラ方式があり、検査用途に応じて使い分けられています。

ハンディ型3Dスキャナー

ハンディ型3Dスキャナーは、装置を手に持って対象物の周囲を動かしながら形状を取得する機器です。装置を移動できない大型製品や、屋外・製造現場での検査に適しています。

一方で、操作方法によって測定結果に差が生じやすい点が特徴です。操作手順を統一したり、担当者を固定したりすることで、測定のばらつきを抑える工夫が行われています。柔軟に運用できる反面、使い方が結果に影響しやすい点は考慮が必要です。

固定式3Dスキャナー

固定式3Dスキャナーは、装置を一定の場所に設置して使用するタイプです。小型部品を大量に生産する現場では、部品を決まった位置に置くことで、毎回同じ条件で形状を確認できます。測定条件が一定となるため、結果が安定しやすい点が特長です。

同一製品を繰り返し検査する場合、前回との違いを比較しやすく、作業工程にも組み込みやすくなります。また、人の操作に依存しにくい検査が可能である点も利点です。その一方で、大型製品や設置場所を移動できない対象には適していません。一定の形状やサイズの製品を継続的に検査する工程で活用されています。

3Dカメラによる外観検査

3Dカメラを用いた外観検査は、形状と外観を同時に確認できる方法です。食品の包装ラインなどでは、製品の位置ずれや包装の破損がないかを一度に確認する用途で用いられています。細かな寸法を測定するというより、異常の有無を短時間で判断する点に特長があります。

この方式は、検査結果を合否で判定したい工程に適しています。形状の大きなズレや欠け、盛り上がりなどを自動で判別できますが、数値として詳細な測定を行う用途には向きません。検査スピードと判定のしやすさを重視する場面で活用される手法です。

3Dスキャン検査のメリット

Hexagon MI Template for A4 Product Brochure3Dスキャン検査には、精度、安全性、対応範囲、記録性といった点で特長があります。検査方法の違いにより、従来の手法と比べて、より効率的で再現性の高い検査が行われるようになっています。

高精度で誤差の少ない検査ができる

3Dスキャン検査は、対象物の表面を多数の点で読み取る点群データを取得します。そのため測定密度が高く、誤差を抑えた検査が可能です。

一点ずつ測定する方法とは異なり、表面全体を連続的にデータ化できるため、局所的なズレだけでなく、形状全体のわずかな違いも把握しやすくなります。ノギスでは計測しづらい三次曲面など複雑な形状の測定が可能です。

取得した点群データは、ソフトウェアを介してメッシュデータ化し、設計データと比較することで、誤差の位置や大きさを視覚的に確認できます。これにより、判断のばらつきを抑え、不良の見逃し防止にもつながります。

非接触・非破壊で安全に検査ができる

3Dスキャン検査は、対象物に触れずに形状を確認できる方法です。そのため、製品を傷つけるリスクが少なく、やわらかい樹脂製品や表面に傷がつきやすい塗装品の検査にも適しています。

測定器や人の手を直接当てないため、完成品の状態を保ったまま確認できる点も特長です。また、無理な姿勢での作業や危険な場所への接近が減ることで、作業中の事故リスクを低減しやすくなります。製品の品質と作業者の双方に配慮した検査方法といえます。

複雑形状や大型ワークにもスキャン対応ができる

3Dスキャン検査は、形状が入り組んだ製品や曲線の多い部品にも対応しやすい方法です。配管が複雑に組み合わさった部品なども、全体をなぞるように測定することで形状を把握できます。

また、大型の構造物については、複数回に分けて測定し、それらを組み合わせることで全体形状を確認できます。これにより、従来は検査が難しかった対象にも対応しやすくなります。製品のサイズや形状に左右されにくい点は、運用上の利点の一つです。

3Dデータで履歴管理ができる

3Dスキャン検査では、検査結果を形状データとして保存できます。定期的に同一製品を検査している場合、過去データと比較することで変化の有無を確認できます。

数値情報だけでなく、形状の変化を視覚的に把握できるため、変化の時期や箇所を整理しやすくなります。これにより、不具合の原因分析や改善検討にも活用できます。記録性の高さは、品質の安定を重視する工程において有効な要素です。

3Dスキャンを検査に活用する際の選び方

3Dスキャン検査を安定して活用するためには、対象物や検査目的に合った機器を選ぶことが重要です。

対象物の大きさ・形状・材質を確認する

3Dスキャン検査では、まず測定対象を明確にする必要があります。小型の精密部品と大型の設備部材では、適したスキャナーの種類が異なります。小型部品であれば据え置き型の装置で対応しやすい一方、大型製品や設置場所を移動できない対象では、持ち運び可能な機器が適しています。

また、形状が単純か、凹凸が多いかによっても測定のしやすさは変わります。加えて、材質にも注意が必要です。金属や樹脂は比較的測定しやすい場合が多いですが、光を強く反射する表面や透過性のある素材では、測定条件の調整が必要になることがあります。これらの特性を事前に把握しておくことで、導入後の運用上の課題を抑えられます。

求める検査精度・解像度・速度を決める

検査に必要な精度や解像度、測定速度は、検査の目的によって異なります。すべての工程で最高水準の精度を求める必要はなく、確認したい内容に応じて適切なレベルを設定することが重要です。

たとえば、試作品の形状が設計と大きく異なっていないかを確認する場合には、比較的高速に測定できる方式が適しています。一方で、組み付け部やはめ合い部分のズレを確認する検査では、より高い精度や解像度が求められます。

精度や解像度を高く設定すると、測定時間やデータ処理の負荷が増える傾向があります。そのため、合否判定が目的なのか、誤差量まで把握したいのかを整理した上で、必要な水準を見極めることが大切です。

検査用途に合う計測方式を選定する

3Dスキャン検査では、求める精度や測定条件に応じて、適切な計測方式を選ぶ必要があります。方式によって光の照射方法や読み取り方が異なり、検査環境によって測定の安定性に差が生じる場合もあります。

また、対象物を動かせるかどうかによっても、適した方式は変わります。実際の製品や近い条件で試験的に測定を行うことで、操作性や測定結果の安定性を確認しやすくなります。カタログ上の仕様だけで判断するのではなく、実際の検査環境を想定して選定することが、導入時のリスクを抑えるポイントとなります。

3Dスキャン検査の導入方法

3Dスキャン検査を導入する際には、目的の明確化から運用体制の構築まで、段階的な準備が求められます。

導入前に検査要件を確認する

導入にあたっては、まずどの工程で何を確認したいのかを明確にすることが重要です。組み立て後の形状確認に用いるのか、出荷前の最終検査として活用するのかによって、求められる検査内容は異なります。

現在の検査工程の中で、時間を要している工程や見落としが生じやすい箇所を把握することで、導入の目的を具体的に定めることができます。目的が明確でないまま導入を進めた場合、運用が定着せず、期待した効果が得られないこともあります。あらかじめ改善したい点を明確にしておくことが、円滑な導入に不可欠です。

自社導入と外注サービスを比較する

3Dスキャン検査の導入方法には、自社で機器を導入して運用する方法と、外部の検査サービスを利用する方法があります。検査の頻度が低い場合は、必要なタイミングで外注するほうが負担を抑えられます。

一方、日常的に検査が発生する工程では、自社で運用する方が効率的なケースもあります。初期費用だけでなく、担当者の教育や作業時間といった運用面の負荷も含めて検討することが大切です。まずは外注サービスを活用して効果を確認し、その後に自社導入を検討する進め方も一つの選択肢となります。

スキャン運用のワークフローを整備する

機器を導入した後は、運用方法をあらかじめ整理しておく必要があります。たとえば、測定を担当する人、データの保存先、結果を確認する担当者などの流れを明確にします。

これらを定めておかないと、担当者ごとに作業方法が異なり、検査結果にばらつきが生じる可能性があります。作業手順を簡潔にまとめて共有することで、安定した品質で検査を行いやすくなります。運用の流れを整えることは、3Dスキャン検査を継続的に活用する上で重要なポイントです。

3Dスキャン検査に関するよくある質問

3Dスキャン検査では、精度や素材への対応、他の検査方法との違いなど、導入前に確認すべき点があります。

3Dスキャン検査の精度はどれくらいですか?

3Dスキャン検査の精度は、使用する機器の性能や測定方法、周囲の環境条件によって異なります。条件が整えば、非常に細かな差異まで確認できる場合もありますが、すべての検査でその精度が必要になるとは限りません。

たとえば、試作品の形状を全体的に把握したい場合には、細部まで厳密な測定を行わなくても十分なケースがあります。一方で、はめ合い部分のズレや寸法誤差を確認する検査では、より高い精度が求められます。このように、必要な精度は検査の目的によって変わるため、事前に確認したい内容を整理しておくことが重要です。

光沢・黒色・透明など難素材でもスキャンできますか?

光沢のある表面や黒色、透明な素材は、光の反射や透過の影響を受けやすく、読み取りが難しくなる場合があります。たとえば、光沢感の強い部品では、スキャン時にノイズが発生して形状が正確に取得できないことがあります。

こうした素材に対しては、表面の反射を抑える反射防止スプレーを塗布したり、装置の設定を調整したりすることで、測定しやすくなる場合があります。ただし、すべての素材で同じように対応できるわけではありません。

実際の製品や近い条件で事前に確認しておくことで、導入後のトラブルを避けられます。

3Dスキャナーと3Dカメラ(外観検査)はどう違いますか?

3Dスキャナーと3Dカメラは、外観が似ている場合もありますが、得意とする検査内容が異なります。3Dスキャナーは、形状を三次元データとして取得し、設計データとの比較など、形そのものを詳しく確認したい場合に適しています。

一方、3Dカメラは、製品に異常があるかどうかを短時間で判断する検査に向いています。製品の位置ずれや欠け、大きな変形の有無を確認する用途で用いられることが多く、数値による詳細な測定よりも、合否判定を重視する点が特長です。検査の目的に応じて使い分けることで、効率的な検査運用につながります。

3Dスキャン検査を導入する前に確認すべきポイント

3Dスキャン検査は、非接触で対象物を立体的に測定し、形状や寸法を高精度に確認できる検査手法です。導入にあたっては、検査の目的や対象物、求める精度、運用方法を事前に明確にしておくことが重要になります。

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